地方の共産党幹部は僕の話が解らなかったよ。

夜の貨物列車

夜の貨物列車

重い貨物列車が 地ひびきたて
板壁のすぐそちらがわをとおつて
この家をがたがたゆさぶりはじめる
今夜この家ではめずらしいことに
家中みんないつしよになつて
宵からはなしをしていたのに
その重いひびきは
みなの話声をさえぎつてしまつた

七人の家族ははなしをとぎられ
それぞれの場所に坐つたまま
がたんがたんとゆすぶられはじめた
みんな 表情をかたくして
ゆすぷられはじめた

鉄道で停年までもはたらいたが
いまは火鉢の前にすわりどおしの父と
トロッコおしの三男と
火鉢をあいだにしてゆさぶられている
敷居に腰かけてゆさぶられている次男は
映画を作る仕事をしていて
一年ほどまえに共産党へはいつた

この次男からききまなんだことで
母も つい最近入党した
柱によりかかつたままで
口を半分ひらいてゆすぶられている長男は
もと特攻隊の海軍少尉で
いま 失業中だ
すいぶんさがしたけれども職がないので
米軍其地の守衛にでもなろうかと
彼が本気でいいだしたから
今夜の話ははずんだのであつた

彼は去年 結婚して
一年もたたぬうちに手供ができた
妻はとやかく不平がちで
共産党ぎらいだ
次の間で子供に添寝しながら
子供は足をうんとひらいて
やつぱりがたがたゆさぶられている
この家で生れて 四カ月の子供は
貨車のひびきに平気でねむる

列車は長く 長くつずいて
貨車はきしみながら ひつぱられていく
そのきしみぐあいからして
どうやらそれらも
日本のものではない
その重い貨物列車が
この家をがたがたとゆすぶつて
家族はつずきの話もできぬ
みんなだまつてゆすぶられながら
それぞれのにがいおもいを
かみしめている

<<引用ここまで。

これは確実に浜口の本で、僕は 「国鉄労働者がどうなるか?」 という助平根性で手元に置いてあるんです。
詩は、その時代の活字でないとパワーが伝わってこないような気がします。
活字は現代風に直しました。
画像で掲載すればエエんだろうけど、電子にするには 「意図」 があります。
イト、ヲカシとおぼしめせ………………
野間 宏さんがあとがきを書いているので、かなり有名?だったのかな?
古本屋でいくら?になるだろうか?

ははははははははははははははははははははははははははははははは。

薄れる実感、のさばる自意識。

かしこ。

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